ロングインタビュー:映画『009 RE:CYBORG』監督、神山健治[4/4]

バラバラになっていたサイボーグ戦士の9人が、もういちどひとつになろうとする『009 RE:CYBORG』のストーリーは、ラストシーンのその先を強く印象づける映画になった。そしてもうひとつ、この作品はユニークな後日譚を生んでいる。神山健治の原画によるアクセサリーのプロジェクトだ。

「今回の『009 RE:CYBORG』には〈天使の化石〉というガジェットが出てくる。ストーリーの中では、ピュンマが発掘しているんですけど。その〈天使の化石〉というモチーフは、キリスト教など既存の宗教にフォーカスしないかたちで──これは日本的な発想なのかもしれませんけれど──漠然とした〈神〉の存在を示すものだと考えているんです」

たしかに、天界に存在する神々が地上に使者を送っていたのであれば、その化石が残されていても不思議ではない。しかしわざわざ化石を持ち出さなくても、宗教画の多くには天使の姿が描かれている。それでは不足なのだろうか?

「宗教って、基本的に〈神〉の代理がいて、その人を通して〈神〉の考えが共有されるわけですが、ではその〈神〉は存在するのか、という愚問に対して、ビジュアルとしてわかりやすく、理屈として筋が通った〈神の存在〉の証拠として〈天使の化石〉を発明したわけです。神の使いである使徒が、本来は姿を見せることもなく、ただ概念の中にのみあった存在が、物理的な証拠である化石として残っている……ただ、なぜ天使は化石となったのか? そう考えると、もう壁画なんかよりもグッとくるわけですよ。人間の解釈として残された壁画のイメージなんて、それは〈神〉が存在した証拠にはならないと思うんですね。それに比べて、化石は物理的な存在であったことを示すわけです」

なるほど。それはすなわち、ブラックゴースト団を倒したサイボーグ戦士たちが、人類の新たな敵として認めざるを得なくなった〈神の存在〉を、映画を見終わったあとでもずっと感じていられる、ということでもある。

「『009 RE:CYBORG』という作品とは別に、この〈天使の化石〉というアイディアが、すごく気に入っていたんです。だからスピンオフというわけではなく、特定の宗教にとらわれない新しいアイコンとして、自分たちが神の存在を意識していくためのモチーフとして〈天使の化石〉は悪くないな、と思っています。例えばそれをアクセサリーにして、身につけて……今回の『009 RE:CYBORG』で描いたストーリーの中から、純粋にテーマだけを抽出して、多くの人に共有してもらえるアイテムとしては、面白いのかな、と考えたんです。それがたまたま、ぼくが好きなアクセサリーを作っている〈ドクターモンロー〉の伊藤さんと話が合って、じゃあアクセサリーにしちゃおうよ、とね」

……というわけで、この〈天使の化石〉のアクセサリーがどんなものになるのか、いずれTokyoOtakuModeでも紹介できると思う。お楽しみに!

Dr MONROE【ドクターモンロー】 x 神山健治
http://t-otaku-m.com/drmonroe-kenjikamiyama

© 2012 009 RE:CYBORG Production Committee

This is a TokyoOtakuMode original article.

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