春奈るなさんインタビュー・前編

2017年11月24日

2012年5月にTVアニメ「Fate/Zero」2ndシーズンエンディングとなる「空は高く風は歌う」で歌手としてメジャーデビューを果たした春奈るな。これまでに数多くの人気アニメ主題歌を歌い上げてきた彼女は、歌手デビュー5周年を迎えた2017年、TVアニメ「URAHARA」の須藤りと役で声優デビューを果たしました。海外でも数多くの公演を経験し世界中で多くのファンを持つ彼女の魅力を引き出すべく、今回長編インタビューを敢行。前編では声優デビューについて、「URAHARA」のエンディング主題歌で自身11枚目のシングルとなる「KIRAMEKI☆ライフライン」について語ってもらいました。




**どんな風にみんな聞いてくれてるのかなってエゴサーチしまくりました
■URAHARAと声優活動について
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ーー今作URAHARAが春奈るなさんの声優デビューとなるわけですが、初めて声優に挑戦するお話を頂いた時、どのように感じましたか?

私自身、普段からよくアニメを観ていて、声優さんは二次元を三次元化してくれる、リアルな人間に近づけてくれる「神」のようなすごい存在だと思っていました。そこで、いざ自分自身が同じフィールドに立つことになった時、声という命を吹き込んでくれる声優さんという存在に私が近づいてしまって良いのかな?というドキドキと緊張感とが一番最初に思い浮かびました。


ーー役が決まってからアフレコがスタートするまでに、どのような準備をされましたか?

アフレコの仕方や、実際の画に声をあてるというレッスンを受けたりしていました。周りに上手な方がレッスンの時点でもたくさんいらっしゃったので、圧倒されながら、いかに自分が足を引っ張らずに習得できるかというところと戦いながらレッスンを受けていました。
同時に、声優デビューにはこういう裏側があるんだな、と見て知ることができて喜んでいる自分もいました(笑)ファン目線で「こんな風に声を入れるのか!」という新たな発見もあって、とても楽しかったです。


ーーアフレコがスタートしてから、どのように感じられましたか?準備段階とのギャップはありましか?

普段は歌手としてレコーディングのブースに一人で入って、一人で自分の歌を歌うので、キャストさんがみんなで一つのブースに入ってアフレコをすることが印象的でした。
同じブースに入ってみんなでURAHARAという作品を作っていくので、結束力だったり、作品に対して前向きな姿だったりとか、そういった部分を実際にアフレコをしていく中で感じられました。




ーー共演者の方とはどんなお話をされてましたか?

だいたい作品の話が多かったです。台詞の中で魚肉ソーセージが出てくるんですが、「魚肉ソーセージのこと、ギョニソって略しますかね?」というように、ちょっとツッコミっぽい会話とか(笑)
あと、今後のストーリーはどんな展開になっていくんだろうね?という話もします。もともとURAHARAには詳細な原作が存在しないので、私たちも台本を受け取ってから「え、こんな物語になっていくの!?」ということを知るんですよ。だから、「最終話どうなっちゃうんだろうね〜」という話で盛り上がりました。
この先何が待っているのかわからないので、りとがどうなっていくんだろう、と不安などを感じながら声を当てることができるので、私自身もリアルな気持ちでりとになれるような気がします。そういうところはとても新鮮だなあと思います。


ーー歌手として活動されている時と、声優としての活動はどのように違いを感じましたか?

最初は本当に違うんだろうなっていうイメージがあったんですけど、実際にアフレコをしていくうちにすごく似通ったこともあると思いました。自分が声を出して演じる、という部分が共通しているのかなと思います。
例えば、普段歌っている時には息遣いを意識している、ということが多くあります。歌い終わった後に少しブレスを入れて「切なさ」を聞いてほしいということを意識しながら歌ったりしています。声優さんも息遣いで演技をすることが多くて、ものを投げる演技の時などはアドリブで息を入れていたりします。そういった細かい表現などの部分は似ているなと感じるようになりました。


ーー実際に出演されたアニメが完成して、放送されていたのを見て、どのように感じますか?

もう毎週ドキドキですね!自分の声が歌としてではなくセリフとして世の中に出ていると考えた時に、大丈夫かなという、不安とも違う緊張感がすごくあります。
自分が声を担当することでURAHARAのストーリー展開だったり、世界観だったりを壊しちゃったらどうしよう。「りと」が、どうやってみんなに受け入れてもらえるんだろう、っていうドキドキ感が毎週毎週すごかったです。
初回の放送の時は気が気じゃなくて、どんな風にみんな観てくれてるのかなってエゴサーチしまくりました。でもそれが改善点にもつながると思いますし、「よかった」って言ってもらえたらそれは自信にもなっていきます。初挑戦なので必要なのかなと思って、毎週鋼の心でサーチしています。調べまくってます(笑)




ーー作品として放送されたのを観て、ここは思った通りになってた、ここをもっとこうすればよかった、などと感じられたりすることはありますか?

りとの声の中から自分の緊張感が伝わってきてしまうという、あってはならないことがありました(笑)1話は特に絶対噛んだらいけない!アフレコの流れを止めてはいけない!という、役に入りきる演技とはまた違う場所での緊張がどうしてもありました。
そんな緊張感の全てが声に出ていて、ふわふわしてしまっていて。アフレコでそういう気持ちを体感していた自分だからこそ、声の中から緊張しているなあというドキドキを、後で観ていた時に実感してしまうということがありましたね。


ーーアフレコが進んできているところだと思いますが、今はいかがでしょうか。(※インタビュー実施は10月下旬)

噛んじゃだめだ、とかそういった焦りよりは、りとの気持ちをちゃんと押し出してあげようと考えられるようになりました。
ストーリーを追っていくごとに、りとの人間像も自分の中ですごく形になってきました。URAHARAの世界観も自分にとって「居心地の良い場所」になってきたので、そのうちの一人として生きたいな、と意識しながら演技していけるようになったかなと思っています。


ーー今後も声優活動を続けていきたいと思いますか?

やってみたいという気持ちはすごくあります。こういう機会をいただいて、声を吹き込むことの楽しさも学ぶことができました。もしまた機会をいただけるなら、前向きに挑戦したいです!


ーー次に挑戦されるとしたら、どんな役をやってみたいですか?

次に演じることができるとしたら、少年の声を、男の子の声をやってみたいです。もともと地声がそこまで高い方ではないので、自分の声を活かす役ができればいいなと思ってます。
りとを演じている際に、「春奈るなさんらしさを残しながら、りとを演じてほしい」と監督さんに仰っていただいたので、女の子のキャラに自分らしさを出すことはできたかなと思っています。少年になったときに、客観的に自分がどんな声で演じられるかを見てみたいという想いもあって、演じてみたいと思っています。




ーー過去に戻って演じてみたい役はありますか?

いや!やってみたい役は、もう、恐れ多くて、それは口にできないです(笑)でも敵キャラとかダークサイドのキャラクターが好きなので、闇を背負った男の子キャラはやってみたいです(笑)


ーーでは、憧れの声優さんはいらっしゃいますか?

宮野真守さんにはすごく憧れています。演技面はもちろんですが、歌もダンスも素晴らしくて、マルチなところに憧れを抱いています。ライブDVDはかかさず買って、お家でみています。研究というよりは、すごいなっていうファン目線ですね(笑)


**作詞は何故かお風呂でひらめくことが多いです
■新曲「KIRAMEKI☆ライフライン」について
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ーーURAHARAのエンディングテーマ曲「KIRAMEKI☆ライフライン」について教えてください。

今回の楽曲はジャズ、ポップ、ロックが融合しています。今までの春奈るなの楽曲としても、すごく新しい楽曲になったなと思っています。聞いていて可愛らしくも受け取れますが、かっこよくも受け取れるような感じですね。
ファッションも、かわいいものとかっこいいものを掛け合わせることで新しいものが生まれたりするので、似通った部分があると思っています。私は、例えばお洋服はかわいくてロリータ系のパステルカラーだけど、アクセはごつめのものをつけることで、ロリータパンクのような新しいジャンルが生まれるといった甘辛ファッションが大好きです。
「KIRAMEKI☆ライフライン」を初めて聞いた時にも、こういう雰囲気を感じました。ファッションを題材にしているURAHARAとも似通っているかなと思いました。




ーー今回はSakuさんと共同で作詞をされていますが、作詞をされる際に意識した点はありますか?

歌詞をちょっと耳馴染みの良いものにしたいなと思って、例えば「いいね」とか「タイムライン」とか、いま流行っているSNSの用語を入れてみました。ふと聞いたときに、この用語いつも使ってるぜ!という馴染みのあるものをちりばめてあります。
URAHARAというイメージの中では、ちょっと強い女性、もしくは最前線にたって戦う女の子をイメージしながら作詞を進めていきました。ただ同時に、戦いに出ようとしているところだけど、もう一人の自分が「ちょっと待って!」って言っているような、かっこつけきれないコミカルな要素もあります。アメコミチックな感じで、色もすごくカラフルなイメージがあるので、そういった雰囲気を表現しようとSakuさんと一緒に書かせて頂きました。




ーー作詞される時はどんな場所や環境でされているんですか?

基本的には家で書くことが多いですが、何故かお風呂でひらめくことが多いです(笑)お風呂で「あ、このワード使いたい」と思っても書き留める場所がないので、一番困るんです。そういう時は髪を洗って、速攻で出て、すぐに書き留める!その間ずっと口でつぶやきながら、ということをしています。やっぱりお風呂で湯船に浸かってふわーっと解放された時に、ふとした言葉が浮かんでくるのかもしれませんね。


ーー作詞のアイディアやインスピレーションは、どこから得ていますか?

私の場合は基本的にだいたいアニメからです(笑)元々普段から詞を書くことが好きで、すごく早いのですが、作詞に目覚めた小学校4年生くらいの頃からずっと書いています。その時は歌詞を書くアーティストの方、例えば浜崎あゆみさんやCoccoさんがすごく活躍されていたので、自分もこういう詞を書けるようになりたいなと思ってパソコンで書き始めました。ネットへ投稿もしたりしていて、そこからずっと詞を書き続けています。
中学1年生でアニメ好きな人間として開花するのですが、そこから自分の歌詞の書き方がものすごく変わりました。ある意味二次創作寄りにもなってしまうのですが、キャラクターの心情だったり、例えばもしあそこで分岐点が違ったら、とか。そういったことを想像しながら詞や小説を書くのがすごく好きでした。その時から常に文章を書いたりしているのですが、その辺りは全て二次元から派生されたものですね。


ーー共作での作詞される時とご自身で全て作詞される時の違いはあったりしますか?

共作の場合は事前にできている歌詞から離れすぎないようにというのを意識しながら書くことが多いです。最初にできている歌詞に、私はどんなストーリーを繋げていこうかな?という想像力がかき立てられますね。その方が自分としてはすごく書きやすいというか、それこそ二次創作に近い気がしています。
それに対して、自分で全て書く歌詞の時は、全部を自分で決めなければいけない、オリジナルを作らなければいけないので戸惑ってしまって難しいです。
前回のシングルの『ステラブリーズ』という楽曲は全部歌詞を書かせていただいたんですが、完成までに2ヶ月もかかってしまいました。。年を越してしまいました(笑)
共作とオリジナルでそれぞれに作詞の面白さはあるのですが、作り方については自分の中に明確に違いがあると思っています。




ーー今後「KIRAMEKI☆ライフライン」をライブでどんどん歌っていくことになると思いますが、ここは見てほしい!というポイントはありますか?

曲のなかで、先ほどの「いやいやちょっと待って!」という部分のように、セリフでのつっこみのようなカットが入る部分が2箇所でてきます。そのカットで私は歌ってる自分をちょっと一瞬止めて、演じる自分に切り替えて歌うということを意識しています。そういった歌詞に合わせた動きも見てほしい気持ちがあります。
この曲は歌詞に粒だったワードが多いので、自分としても動きやすいです。「くよくよしてたら置いてかれるわ」という歌詞で「置いてかないで!」とか(笑)想像しながら聞くとすごく楽しいので、ライブではぜひ歌う姿も見ながら聞いてほしいなと思っています。


後編もお楽しみに!

https://urahara.party/


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